アジサイが土壌で色が変わるわけ
アジサイが土壌で
青やピンクになる理由ですが
花色を決定する
「アントシアニン」という
色素があります
「アントシアニン」とは
ポリフェノール(polyphenol)の一種です
ポリフェノールとは
複数のフェノール性ヒドロキシ基
(ベンゼン環、ナフタレン環などの
芳香環に結合したヒドロキシ基)を
分子内に持つ植物成分の「総称」
poly(多数の・多量の)と
phenol(石炭酸)が語源です
ポリフェノールを
分かりやすく言うと
植物が自ら作り出す抗酸化物質の「総称」で
苦味や渋味、色素の成分のことです
ちなみに「アントシアニン」は
フラボノイドの一種でもあり
フラボノイド(flavonoid)とは、
天然に存在する有機化合物群で、
クマル酸CoAとマロニルCoAが
重合してできるカルコンから
派生する植物二次代謝物の「総称」
分かりづらいですね
ポリフェノールには
フラボノイド系(例:アントシアニン、カテキン等)と
非フラボノイド系(例・クロロゲン、リグナン等)
があると覚えておけばよいと思います
大枠順で説明すると
ポリフェノール<フラボノイド<アントシアニン
フラボノイドは
・アントシアニン
・フラボン 等
これらが以下の説明に出てきますので
覚えておいてください
※フラボンは別の青い菊の時に登場します
花の色があれほど鮮やかで美しいのも
ポリフェノールの作用で
「アントシアニン」もその1つです
アジサイがもつ
「アントシアニン」は特殊で
土壌にあるアルミニウムと反応し
青色になります
アルミニウムは本来
植物にとって有毒です
アジサイはアルミニウムに対して
耐性を持ちます
よくアジサイは土壌の
㏗よって色が変わる理由は
アルミニウムがイオン化することで
アジサイが吸収できるからです
アルミニウムは
pH5.5以下でイオン化し始め
pH4.5以下では
ほとんどのアルミニウムがイオン化するため
色が青色に変化します
***土壌のpHの補足説明***
土壌の参考pHだが
アルカリ性pH6.0~6.5
酸性pH5.0~5.5
PWのサイトに詳しい説明があります
鮮やかに!紫陽花(アジサイ)の花色の変え方 花色と土壌pHの関係
https://provenwinners.jp/magazine/hydrangea_color_control/
地植えのアジサイの場合
昔的な考え方だと
通常、日本の土壌は
地域にもよりますが、やや酸性
そのため何も世話しないアジサイは
青になりやすいため
昔は赤に咲かせるため工夫をしていました
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詳しい説明は
アジサイの不思議!(2019-10-18)
https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=4561
こちらを参考にしてください
この説明の一部が
「最近、アジサイでは液胞中で、
アントシアニン(詳しくはデルフィニジングルコシド)、
Al3+(アルミニウムのイオンのこと)、
助色素としてネオクロロゲン酸
(下記で説明するの5-O-カフェオイルキナ酸および/
または5-O-アシルキナ酸のこと)の
3者が非共有結合的に結合して
錯体になることにより
青色が生じるという報告が出ました。
この説が正しいかどうか、
今後検証され、確定していくことと思います。」
これは多分ですが
名古屋大学の研究かな?と思っています
分かりやすいサイトだと
2019年9月14日の記事
アジサイの青色色素錯体をガク片の中に直接検出!
https://www.chem-station.com/blog/2019/09/ajisai.html
筆頭:伊藤誉明氏(名古屋大学 吉田久美研究室)
Ito, T.; Aoki, D.; Fukushima, K.; Yoshida, K. Sci. Rep. 2019, 9, 5450
この論文をわかりやすく解説したものです
2019年5月7日の記事
アジサイの青色色素を青色細胞から直接検出!
https://academist-cf.com/journal/?p=10634
青木弾、吉田久美
(伊藤氏の共同研究者です。別の論文も発表しています。参考文献を参考に)
最初に青木氏の説明からみた方が分かりやすいです
簡単に説明すると
昔からアジサイの色変わりには
アルミニウムが重要な役割を果たしているのは
分かっていましたが
その詳しいメカニズムはわかっていませんでした
アジサイの色素である
アントシアニン色素の一種(3-O-グルコシルデルフィニジン)は
実は青~赤すべて同じ化合物なんです
通常は同じ品種でも、
赤い花と青い花では、
アントシアニンの化学構造が異なりますが
アジサイはすべて同じです(ここがポイント)
なぜ同じ分子が
違う色を発色できるのでしょうか?
アルミニウムは本来
植物にとって有毒です
しかしアジサイはアルミニウムに対して
耐性を持ちます
ではどのように無毒化しているのでしょうか?
3-O-グルコシルデルフィニジンに
アルミニウムの量を変えて混ぜ、
さらにpHを変化させると、
多様な色を作り出せることがわかりました
実はアントシアニンの発色を変化させ
安定化させる機能を持つ
「助色素」と呼ばれる無色の分子が
3種類あることが分かったそうです
※3種類の助色素とは(5CQ、5pCQ、3CQ)
3CQが多い時は赤色
5CQが多い時は青色(5-O-caffeoylquinic acid、5-O-カフェオイルキナ酸)
5pCQ(5-O-p-coumaroylquinic acid)
青色を試験管内で再現したときの錯体色素は、
3-O-グルコシルデルフィニジンによるもので
助色素(5-O-カフェオイルキナ酸および/または5-O-アシルキナ酸、広い意味だとネオクロロゲン酸)、
こちらがアルミニウムと1:1:1で複合化した構造を持つことが明らかとなり、
Hydrangea Blue-Complexと名付けられました。
※青木氏の3-O-グルコシルデルフィニジン+アルミニウム+5-O-アシルキナ酸の化合物の構造図を参照
これが青色の正体です
アジサイは有毒なアルミニウムを特定の細胞に濃縮し、
さらに錯体色素として無毒化しながら
花色に利用しているのです。
また興味深いことに、表層の無色の細胞からは
助色素が大量に検出されました(これが青色になる理由です)
※「錯体」は金属と非金属の原子が結合した構造を持つ化合物のこと
上の参考にしてほしいといった構造図は「錯体」となりますね