鉢でバラを無農薬栽培

一部品種は時期によって低農薬の時もある

根頭がんしゅ病に関してバラの家さんに問い合わせてみた

今年の4月後半に購入した
「シャドウオブザムーン」が根頭癌腫病(以下癌腫)だったため
バラの家さんに問い合わせをしてみました。

基本「根頭癌腫病」の補償に関しては
研究者の方と相談して
半年としているそうです

ただ状況や発送時期などよって
1年以内のものなら検討をしてみるので
連絡をくださいとのことでした

研究者とは国立岐阜大学 福井博一教授
主に園芸種の研究をおこなっている方で
近年癌腫に関する研究論文も発表してます

バラの家さんが昔使っていた
バラ根頭がんしゅ病抵抗性台木も
この先生が発表したものかな?と思っています
※ちなみに癌腫になった「カインダブルー」はバラ根頭がんしゅ病抵抗性台木使用

詳しいことは科研費のデータサイト
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-26450031/

バラの家さんから頂いた情報ですが
こちらが引用の一部です

「明治時代に果樹から発見されたがん腫は、
人間が接木や挿し木などで増やした植物や果樹などを中心に
(野菜や草花等も含め多くの植物がかかる病気でバラだけの病気ではありません)
農地や住宅地、公園など日本中に広まりました。

またがん腫の菌によって、植物全体が感染している場合もあります。
それらの枝葉が風などで折れたり飛ばされたりし、隣の畑や家などに広まっていきます。

もちろん人が関わらない自然界の山中などにはがん腫の菌はいないと予想されますが、
現在では過去に人が植物を増やし植えたことがある場所でしたら、
全国の土壌に潜伏している一般的な土壌病害のひとつとなっております」

2回目のメールにて

「現在の研究において、日本の住宅地の土中には
がん腫の菌がいる場合が多く、完全に防ぐ手立ては今のところ発見されておりません。」

バラの家さんでは

「癌腫は一般的な家庭の土壌も
汚染されている可能性がある」との考えのようでした

一説でこの考えを唱えている学者がいるいう話は聞いてましたが
もしかいたら福井博一教授なのかもしれません

しかしその根拠とした発表論文(一般家庭の土壌が汚染されている研究発表)は私の方では発見できなかったので

・どのように調査をしたのか?

こちらが知りたいのですが
もしかしたら先生の研究対象ではないかもしれません

ただこちらの先生は園芸種の被害情報を集めているようなので
上記のような判断をされたのかもしれません
生産者さんからいただく情報量はかなり多いと思われます
癌腫に関してぜひ頑張っていただきたい先生です

ここからは私の「素人的な考え方」です
私は「根頭癌腫病の感染はほぼ生産者から」と考える一人です

詳しくは
根頭癌腫病の感染はほぼ生産者から
https://hati8chang.hatenablog.com/entry/2023/12/23/220141

1年以上の癌腫に対する補償は
大変な被害者でもある生産者さんを苦しめるので
「しかたがない」と思っています

しかし近年「やばいな…」と思うほど
癌腫はものすごい広がり方をみています

もしかしたら販売されている大手のバラは
「ほぼ癌腫かもしれない…」と仮説を立てるほどです

するとバラ栽培にあたって
癌腫のバラを処分すると
ほとんどのバラがなくなる可能性があるとのことです

家の場合は幸いにも
癌腫のバラは育成には問題ない状態です

しかし「汚染」を
気にして見つけては処分するようにしています

あまりにも発見率が高いので
手放せないバラ、もう販売していないバラは
癌腫のママ育てる可能性もあります

ただ癌腫はフタバ系の植物に感染する細菌です
できたら保菌するべきではない病原菌なのです

最悪、日本の植物たちの生態環境すら変えてしまう
危険な菌かもしれません
植物の生態環境が変わるとは大変なことです
鳥類、動物たちの環境も変わります

ただ私は福井博一教授とは違って

「癌腫は生産者側でものすごい広がりをみせている
一般家庭にも癌腫に感染した苗が続々とやってきている

生産者の庭と違って家庭の庭ではそんなに感染源を広げられない
ただ生産者さんと似たような環境でバラを育てている
一部の家庭の庭では生産者なみに広がっている可能性がある

その理由は癌腫の感染力の弱さ」

ではどんな状態で癌腫菌が猛威を振るうか?考えてみました

・同じ種の植物を圃場で密に育てている【生産者の可能性が高い】
・圃場の連作【生産者の可能性が高い】
・断裁されたバラの根がたくさん残る圃場【生産者の可能性が高い】
・化成肥料と農薬での管理(有機肥料(有用土壌微生物)の少ない環境)【癌腫菌の感染力がアップする】

では、癌腫菌に汚染された圃場の改善方法は

★2~3年を水田にする

癌腫菌は場合2~3年土に生息されている可能性があると言われています
嫌気性にした水田にして2~3年したら消えるだろうという説です
※癌腫は好気性の菌です

★畑の消毒(バラの家さんでは行っているそうです)

バラの家さんの方法は伺ってないのですが

一般的な癌腫の畑の消毒法は
・太陽熱利用の土壌消毒(温度による消毒)
・その後、稲藁、石灰窒素を投入し耕転
・小畦を立てて、ポリフィルムで土壌表面を被覆した後湛水し、施設を密閉
参考サイト:メロンがんしゅ病に対する抵抗性品種積の利用と太陽熱利用土壌消毒による防除
https://www.naro.affrc.go.jp/org/warc/research_results/skk_seika/h07/skk95028.htm

★土壌交換
抗生物質による殺菌
木酢液有機酸等による殺菌

参考サイト:広島大学:山田隆教授
自然土壌細菌を利用した植物根頭がんしゅ病防除法
https://shingi.jst.go.jp/pdf/2008/hiroshima158.pdf

 

そして私が期待しているのは
★拮抗細菌による防御

この方法は数々この研究発表で受賞している
川口 章氏(岡山県農林水産総合センター農業研究所)の文献を読んだ方がよいと思いますが

簡単に説明すると癌腫菌が増えてしまった圃場で

癌腫菌の癌腫を作るのを抑える菌(ARK-1株)で拮抗させて病気を防御することにより発生率を抑える方法です
私はこれはバラにも応用できるのではないかと考えています。

下記に参考文献を載せておきます。


土壌病害ブドウ根頭がんしゅ病の生物的防除法の開発
https://www.nougaku.jp/award/2012/3-kawaguti.pdf


日本学士院学術奨励賞
植物病害ブドウ根頭がんしゅ病の生物的防除法の開発
川口 章
前編(植物防疫.71(2)122-127)
https://www.jppn.ne.jp/jpp/s_mokuji/20170211.pdf
後編(植物防疫.71(3)196-201)
https://www.jppn.ne.jp/jpp/s_mokuji/20170312.pdf